堀江貴文 刑務所では 『ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた』 [メディアとニュース]
堀江貴文 刑務所では 『ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた』
ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた そしたら意外に役立った (ノンフィクション単行本) 堀江 貴文 角川書店 2013-08-30 売り上げランキング : 449 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
今年3月27日に仮釈放を向かえ、激ヤセ姿で注目を浴びたホリエモンこと堀江貴文さん。
そのままの勢いで週刊プレイボーイで再びヌードを披露、さらに「声優ってそんなにスキルいるの?」発言など、相変わらずネット上で賛否両論の話題を欠かしません。
8月10日には、宇宙開発事業を展開する事業会社SNSによる液体ロケットの発射実験も成功し意気揚々です。
そんな堀江さんの出所後初の書き下ろしとなる新刊
『ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた』(角川書店刊)
内容は、なんとブックガイドなんです。
堀江さんが刑務所の中で読んだ本の数々を、思索の数々とともに綴る、獄中仕様のブックガイドなのです。
【Lifehacker】
塀の中の「過酷な情報戦」
そもそも、いまは普通にシャバに復帰しているように見える堀江さんですが、彼は服役中の約2年間、ずっとオフラインの状態でした。刑務所ではインターネットが使えないのです。2年間もインターネットから離れていては、ビジネスの第一線に戻ってくるのも難しそうに思えます。 本書によると、堀江さんは塀の中で、時間と戦い、検閲を越え、1000冊の本を武器にして、塀の中で「過酷な情報戦」を戦い抜いたといいます。 それでいながら本書のサブタイトルは「そしたら意外に役立った」。相変わらず不敵です。 本書では、堀江さんが刑務所で読んだという1000冊から厳選した42冊を紹介。ノンフィクションからマンガに至るまでの面白い本の数々とともに、刑務所の分厚い「情報の壁」すらも越える、面白い本の見つけ方などのノウハウも多数紹介され、堀江さんの情報哲学が見え隠れします。
書評サイト『HONZ - ノンフィクションはこれを読め!』を主宰する、元マイクロソフト社長・成毛眞氏との対談も収録され、8月30日、角川書店より出版されます(Amazonではすでに予約ができるようです)。
そして今回は特別に、発売前最速となる「プロローグ」の全文掲載をライフハッカーが独占でお届けします!
「情報脱獄」
?プロローグ? 【2011年6月19日 自宅 オンライン】 新聞やテレビなどのオールドメディアに頼らず、インターネットで効率よく情報を手にしていた。多くのチャンスは、情報の差によって生まれる。誰よりも効率的な情報収集こそが、"誰も手にできない未来"を自分のものにする方法なのだ。
【2011年6月20日 東京拘置所 オフライン】 持ち込んだ本は、まだ手元には届いていない。部屋にあるのは「官本」として置かれている2冊。なんと『蹴りたい背中』(綿矢りさ)と、『結婚なんてしたくない』(黒田研二)。主な情報源は紙の新聞。ラジオは聴ける。テレビはない。
たった1日で、半世紀以上も昔の情報環境に逆戻りである。
この後、長野刑務所に移ってテレビが見られるようになっても、せいぜいローカルニュースと、録画番組。しかも僕の刑期は2年半......。 "情弱"になるには、十分すぎる時間と環境だ。 他の囚人たちと同じように過ごしていては、同じように情弱になって、シャバに出る頃には浦島太郎。一般人以下確定である。一刻も早く、この「強制情弱状態」を脱出しなければならない。
収監と同時に、僕の人生でもっとも過酷な情報戦が始まった──。 刑務所内で僕を情弱から救ってくれたのは、スタッフが差し入れてくれるブログやツイッターのプリントアウト、雑誌、そしてのべ1000冊に及ぶ本だった。
正直なところ、収監されるまでの人生で、本をそれほど読んだことはなかった。とにかく時間がなかったからだ。日々更新される情報にキャッチアップし、分刻みのスケジュールで人と会い、ビジネスを推し進めることに追われていた。
ゆったりと時間をかけて活字を追うことなど、想像もできなかった。読んだとしても、いかに有益な情報を、できるだけ短時間で吸収できるかだけを考えた読み方だった。 しかし、刑務所の中であっても時間がないのは同じだ。いや、むしろそれ以上だった。
自分で自由に時間を管理することが許されない。義務付けられた作業をこなし、運動をし、消灯時間を守り、決められた時間を眠る。その中で、僕が発行しているメールマガジンの原稿も執筆(手書き)しなければならないし、新聞、雑誌も読まなければならない、送られてくる様々な仕事もこなさなければならない。本を読む時間は、限りなく少ない。
それでも僕は読みきった。シャバにいた頃には想像もできない冊数を、どんどん消化した。 刑務所という環境の中で、面白い本や、重要な情報をもたらしてくれる本を手に入れるには、シャバにいる時にも増した「効率のよい選定」が鍵を握る。
場所は変わっても、時間との戦いを制するのは、効率的な情報収集。
自分にとって、もっとも重要なものだけを得られる状態を、いかにつくるかにかかっている。 そして、刑務所の"情報の壁"は厚い。
ネットでリアルタイムの情報収集はできず、書籍は差し入れでしか送られて来ない。
すべての書籍は官(刑務官)の検閲にかけられ、面倒な手続きが必要だ。自分の持てる本の数は、部屋の本棚と、私物バッグに入る分に限られている......。
この膨大なプロセスと制約を経なければならない上、本というのは、ウェブマガジンのようなニューメディアではなく、時間対効果はよくない。ハズレを引いてしまうことによる1冊あたりの時間的損失は計り知れない。 この壁をいかに乗り越え、面白い本を手に入れたか──僕の試みの結晶が、この本におさめられたブックリストである。
そして、圧倒的な情報の壁を乗り越えて僕のもとにたどり着いた本たちは、出所後の今でも役立つ知識を、与えてくれた。
これらの本は、いわば僕が刑務所という情報の壁の向こう側で、時間と戦いながらキュレーションした名作たちである。この本のおかげで僕は、仮釈放されても、前以上のパフォーマンスでシャバに復帰できたと言えるかもしれない。 そう、僕の「情報脱獄」は、成功したのだ。刑務所の圧倒的な強制情弱状態から脱し、ビジネスから歴史、人生についてまで、様々な「新しい考え方」を生み出すこともできた。この本には、その軌跡を、厳選した42冊の書評とともに、綴りたいと思う。
また、巻末には、刑務所内で参考にしていた書評サイト『HONZ - ノンフィクションはこれを読め!』を主宰する、僕が敬愛する本のキュレーター・成毛眞氏との対談も収録した。併せて楽しんでもらいたい。
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