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浜田宏一教授 内閣官房参与(経済担当)に起用 安倍晋三総裁 [メディアとニュース]



浜田宏一教授を内閣官房参与(経済担当)に起用 安倍晋三総裁

これまで、日銀への意見上奏など、安倍晋三総裁との対談で話題となっていた、浜田宏一先生を内閣官房参与に起用する発表がありました。

さっそくネット上では「日銀白川氏の恩師だよね。教え子の失態の尻拭いか」といった反応が。
安倍総裁、庶民の好きそうなことをやってくれます。

【サンケイニュース】
自民党の安倍晋三総裁は16日、政権復帰を果たした新政権で、
国際金融論の専門家、米エール大の浜田宏一教授(76)を内閣官房参与(経済担当)に
起用する方針を固めた。デフレ脱却に必要な経済政策や国際金融について助言を求める。

安倍氏は、デフレ脱却のため日本銀行と政策協定を結び、
インフレ目標を定めたうえでの大胆な金融緩和を進める方針を打ち出している。

この主張に対して、日銀の白川方明総裁や野田佳彦首相が反発、
是非をめぐって論争になった。

その際、浜田氏は「(日銀の対応は)結局うまくいかなかった。
安倍発言は全面的に正しい」との激励のファクスを安倍氏に送った経緯もある。

10日には自民党本部で安倍氏と会談、経済政策について助言した。


【安倍総裁×エール大学教授・浜田宏一氏対談】

浜田宏一教授
経済学者(イェール大学教授)。
1936年1月生まれ。1958年に東京大学法学部、1960年に同大経済学部を卒業し、フルブライト留学生として入学したイエール大学にてPh.D(経済学)を取得。その後は1969年東京大学経済学部助教授、1981年同大教授を経て、1986年にイエール大学教授に就任、現在に至る。
2001年1月から2003年1月まで内閣府経済社会総合研究所長(初代)を務めた。
専門は国際金融論。国際金融論、ゲーム理論の分野で世界的な業績がある。法と経済学会の初代会長も務めた。日本のバブル崩壊後の失われた10年においては金融政策の失策がその大きな要因とみなし特に岩田規久男の主張を評価している。日本銀行の金融政策を批判し「リフレ派」の一人とされる。
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・小泉政権時代に福井日銀総裁に直談判
浜田: このたびは、元総理大臣である安倍晋三先生にお話を伺えるのは大変光栄です。自民党総裁という実力者の方が、デフレの問題点をちゃんと理解してくださり、日銀法改正の可能性まで政策の骨子としてあげていただけるのは、われわれを力づけてくれます。

しかも、そのことがウォールストリートジャーナルを通じて世界に報道されるのは画期的なことです。金融に関して今のようなお考えをもたれるようになったのは、何時からのことですか?

安倍: もともとは社会保障を専門にしており、正直申し上げて金融については特別詳しくはなかったのです。しかし(小泉政権で)官房長官に就任するといろんな政策について説明を受ける立場になり、いろいろ教えていただく機会は多くなり、その中で勉強させていただきました。

ちょうどその直前、森喜朗首相、宮沢喜一財務大臣の時代に、日本銀行の速水優総裁が、政府側からしばらくゼロ金利体制を続けてほしいという要請があったにもかかわらず、それを止めてしまったということがありました。

浜田: ああ、そうでした。

安倍: その1年後、結局、景気は厳しくなりました。最近、当時の議事録が新聞記事にもなっていますから、読むと面白いですね。そこで彼らは当座預金にお金を積むという量的緩和をしたのです。
しかしその後、小泉政権になり、日銀総裁も速水さんから福井俊彦さんに代わったのですが、そこで量的緩和を止めてしまいました。

浜田: はい。

安倍: その時、小泉総理と私と日銀の福井総裁、武藤敏郎副総裁さんの4人で昼食をともにする機会がありました。そこで福井総裁に内閣側からお願いしようとしたのです。小泉総理から直接ではなくて、私が言ったほうがいいだろうということで、「もうしばらく量的緩和を続けてもらえないだろうか」という話を私がしたのです。

ただ、当時は私も、「そうはいっても、この人たちはみんな金融の専門家だから、日銀の言うことが正しいのかもしれない」ということが頭にありました。しかし、その後、自分が総理になり辞めてしばらく経って、これまでのファクトの積み重ねをふりかえって見ると、必ずしも彼らが正しくなかったということが分かってきました。

浜田: そう正直に言っていただき、とてもうれしく思います。

・財務省は政策を誤っているのではないか
安倍: それから、財務省の財政規律に重点を置き過ぎた、あの姿勢も、やはりちょっと違っているのではないかと気がついたのです。彼らの姿勢というのは、政治家に対し、もっと責任感を持てというか、そういう気持ちに訴えるところがあるんですよ。使命感を呼び起こす的なところがある。

それで、やはり財政規律はちゃんとやらなければいけないということに傾いていくことになるのです。

世の中には、政治家は選挙が怖いからバラマキに陥りがちで、財政の引き締めなどできないというイメージがあります。それに対し、「自分は違う」ことを証明したいという気持ちが政治家には生まれてくる。その気持ちと相まって、専門家集団を集めている財務省の裏付けがあることが、政治家を後押しするのです。

しかし旧大蔵省、財務省というと専門家集団で政策にくわしいという固定観念があるんですが、事実をずっと見てくると、むしろ肝心なところで政策を誤っているんではないかという疑念が芽生えてきます。

安倍政権のとき、平成19年の予算編成では54兆円くらい税収があったんです。これは成長の成果です。もしあの段階でデフレから脱却していれば、これは一気にプライマリーバランスの黒字が出るまでいったんではないかと思うわけです。

浜田: そうですね。少なくともこんなに大努力をして、デフレ脱却をしなければならない事態に追い込まれる必要はなかったと思います(笑)。

失礼ですけれども、安倍先生にお会いしたのは、たぶん私が内閣府の・・・。

安倍: 諮問会議のメンバー、というかオブザーバーでしたね。

浜田: 諮問会議にメンバーではなく、オブザーバーとして補佐していました。会議に出させていただき、速水総裁にも意見を述べさせていただいたこともあります。そのときに安倍先生をはじめ、いろんな方に会議でお会いすることができて、しかも議論にも一部分参加させていただけたというのは、大変貴重な記憶となっております。

福井さんが日銀総裁になったとき、消費者物価がゼロよりもすこし上がっただけで、デフレは回復したという、引き締め基調に転じました。その結果、財政黒字がどこかに飛んでしまった。その時期のことに関しては、中川秀直先生に先日、インタビューをしてお聞きしました。

安倍: そうですか。

・「デフレにも『いいデフレ』がある」と言い切った日銀総裁
浜田: 実は、私がエール大学に帰米するとき、小泉首相が送別会を開いてくれました。そこで小泉首相に「デフレを撲滅する人を日銀総裁にしてください」と、個人的にお願いしたことがあります。なぜ、福井総裁があれだけ長くデフレ政策をとられたのかというのが当時はさっぱり分かりませんでした。

財政規律というのは、たとえば地震のような災害があったとき、政府がそれに対処するためには財力がないと困るので、必要だとは思うんです。けれども、現在のような金融引き締めのままで、ただ税率だけを引き上げるという形では、財政再建は達成できないことは明らかです。

安倍: 福井総裁と議論をしたときに、それは官邸の昼食会という形だったのですが、メンバーとしては総裁、副総裁と、総理と、官房長官である私と、あと丹後(泰健首相秘書官、後に財務次官)さんが入っていました。その時の印象で言えば、現状をどう認識しているか、日銀と政府とで擦り合わせができていないと感じました。

そのとき聞いたら、福井さんはいまのデフレ状況はある程度やむをえないという考え方なんです。日銀がいろんな様々な政策を打ったところで、そう簡単に変えることはできないというのです。彼は「いいデフレ」と「悪いデフレ」があるという言い方をしていました。

浜田: そうですか。

安倍: 「いまはいいデフレに近い」という話をされたわけです。そのとき素人の私として素朴に思ったのは、ではそれをコントロールできないというのなら、日銀の存在とは何なんだということですね。

浜田: そういうことにもなりますね。

・目的の独立性まで日銀に与えてしまった

安倍: ですから、問題点としては、政府が、経済の現状を認識して目標を立てて、あとの手段を日銀が選ぶという仕組みには、そもそも最初からなっていないということです。

浜田: そうですね。

安倍: 政府と日銀で、認識と目標が共有されていない。

浜田: それが日銀法の問題点だと思うのです。日銀法ができたのは、大蔵省不祥事とかいろんな政治的きっかけがある。中央銀行の独立性がある国のほうが上手くマクロ政策をやっていたような例もありました。

独立性自体はいいんでしょうが、困ったことに、日銀法では手段の独立性だけではなくて、目的の独立性まで日本銀行に与えてしまった。ですから、国民に対して政治責任を負っている政府が考えるべき、国民生活の雇用とか国民所得などに対して、どの辺まで政策が努力したらいいのかを日本銀行が決めるかのようになってしまったのです。

確かに細かい手段について、日本銀行の人が一番統計や実務を知っていて、経験も豊かなことは事実かもしれません。しかし非常に緊縮的な失業が多いような状態を日銀が目標とするようになってしまったのは、明らかにおかしい。日本銀行が手段だけでなく、目標まで自分で決めているというところが現行法の問題だと思います。

安倍: 今度、山本幸三氏が、この震災復興に対する予算を増税で賄うのは間違いではないか、と私のところに説明にきました。現下の最大の問題はデフレであり、このデフレから脱却するべきだという。

私は最初に申し上げたように、この問題をずっと専門家としてやってきたわけではないので、会長をやるというつもりはなかったんです。しかし、民主党政権がデフレ容認、金融政策軽視の傾向が強いので、それだったら私もいっちょうやってやろうかということになったのです。

・デフレ下の増税は間違っている
浜田: 僕は世界に通ずる普通の、標準的な経済学を信じています。そこでは貨幣も重要だし、モノ(実体)も重要だし、その両方を含んだ体系が必要です。しかし、不況や株価下落の原因は実体が悪いからだと、一方しか見ない人たちが多い。

最近は少し孤軍でもなくなりましたが、どちらかと言えば、少数派で、貨幣面も重要だと頑張ってきました。今回、先生のように経験も、それから将来の日本全体を担うのを国民から託されている方に共感していただくと、非常に心強く思います。

安倍: 景気はまだまだ厳しいでしょう。これから財政出動しますが、デフレ下で増税をするので、景気を冷やしていく危険性もある。よりデフレが進んでいく危険性もあるでしょう。これは明らかに間違っています。
世論調査で5割が増税を支持するというのはね、不思議なことですよ。これではもう、この機会は絶対に逃したくないと財務省は思ってしまう。

浜田: 財務省の人には悪いけれども、地震があったからみんな支持してくれると、天災を増税の口実にしているかたちです。

安倍: これを機に財務省は増税を進めようとする。しかも日経新聞や、かなりの経済学者もそれを支持している。われわれは相当頑張らないと飲み込まれてしまって、結局財政赤字はさらに悪化していく危険性すらある。税収はそんなに伸びないどころか、ダウンするかもしれません。

浜田: そうですね。橋本龍太郎先生が総理だった時もまったく同じです。

安倍: あのときも増税で、景気が底割れしました。

浜田: 結局、景気が悪くなり、税収も減収した。法人税、個人所得税まで減収していくという状態でした。

それにしても政治家のがみなさんが、先生のように理解してくだされば日本もずいぶん良くなるんですが。

・成長なしに財政再建などはありえない
安倍: 財政規律ばかりが強調されているんですが、これはわれわれにも責任があります。

消費税を橋本政権下で上げたときに、財政危機を非常に強く国民に訴えたわけです。このままでは大変なことになりますよという、不安を喚起した。ある意味、これが効き過ぎてしまった。最近はギリシャ危機があったので、ギリシャと日本を同一視する人がいる。でもそれは間違った考え方です。

浜田: そうですね。

安倍: かなりの人がそれを平気で言うようになってしまった。財務省も違いを分かっていながら、間違いを指摘しない。たとえば与謝野馨さんはよく「成長ですべては解決しない」という言い方をするんですが、すべてを解決するなんては誰も言っていない。ただ成長せずに財政再建できるかというとそれは無理です。

浜田: とんでもない話ですよ。

安倍: 絶対に有り得ない。

浜田: 経済学者も悪いのです。ギリシャは国も民もみんな借金しているわけですが、日本の場合は、国のほうは富んでいます。世界で見ても、中国には負けるかもしれませんが、日本は今のところ世界の最大債権国です。だから円が下がらないで上がってしまうわけです。

安倍先生には、私から経済メカニズムについて補足なり、申し上げることはほとんどありません。みんなが今日の話を理解してくれれば、日本は変わります。




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