ジェットストリーム　三菱鉛筆　最高益

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ジェットストリーム　三菱鉛筆　最高益　[ビジネスと経済] [編集]

筆記具メーカーの三菱鉛筆の業績が好調です。

2011年12月期の連結経常利益は65億円で、2期連続で最高益を更新。
この10年間、売上高は変わらず、収益を徐々に伸ばし続けています。

経費削減とIT化で「ペーパーレス化」が進んでいるというこの逆風下で収益が伸びている背景を、三菱鉛筆で財務を担当している永澤宣之取締役が説明されています。
「01年のITバブルの崩壊以降、当社は大きく方向転換を進めてきました。
ひとつは筆記具メーカーとしての原点回帰。
もうひとつが、海外調達比率の上昇です。
それらが今、結果として実っているのだと思います。」

三菱鉛筆は今年で創業125年になります。
鉛筆の製造から事業を興し、現在ではボールペン、シャープペンなど筆記具全般を取り扱っていますね。
この多角化傾向は20年ほど前始まり、CDやインクリボンなども扱うようになりました。
背景には
「筆記具の市場が伸び続けることはない」
という危機感があったそうです。

永澤取締役
「文具店に卸す様々な商品を扱うようになったのですが、多くは自社製造ではなく、仕入れ品です。
特徴のある商品ではありませんから、利益率は高くなかった。
そこで『これからは売り上げではなく、利益を重視しよう』と大きく舵をきったんです。」
筆記具メーカーとして自社製造をしている分野以外からは、原則として撤退。
筆記具が売り上げに占める割合は、一時、6割近くまで下がっていましたが、現在では8割ほどにまで高まっています。

三菱鉛筆では筆記具の製造に関して、プラスチックの成型、ペン先の加工、インクの配合などまで、すべて自社で行っています。
メーカーの原点に戻ることで、競争力を取り戻したんですね。
海外調達比率を増やしたことも、円高の環境下でのコストダウンに大きく寄与しました。
それまで海外工場は中国・深せんだけでしたが、あらたにベトナムと上海に100％出資の拠点を増設。
主に筆記具の部材を製造しています。

そこに輪をかけて、次々とヒット商品が出ました。
なめらかな書き心地の油性ボールペンみなさんご存知の「ジェットストリーム」、
芯先が自動回転するシャープペン「クルトガ」、
ホルダーとリフィルを自在に組み合わせられる「スタイルフィット」。
いずれも高い技術が背景にあるため、類似商品が出づらい模様です。
三菱鉛筆は売上高の約6％を研究開発費にあてており、従業員約2800人のうち約200人は開発者だとか。
「研究開発費だけは削らなかった」という判断が好結果に繋がったようです。

海外展開も好調です。
現在、海外売上比率は45％にも登ります。
筆記具の世界最大手は仏ビック社で、売上高は約1800億円と三菱鉛筆の3倍以上なのですが、ライターやひげ剃りの売り上げが大きく、筆記具は全体の3割です。
実際の筆記具の売上での比較なら、三菱鉛筆は世界市場で戦うグローバルプレーヤーなんです。

永澤取締役
「日本のメーカーは100円から500円くらいの中価格帯に強い。
仏ビックや中国のメーカーは箱入りで売られる廉価品には強いのですが、新商品は開発しません。
新機能をアピールして、一本売りができているのは日本製なんです。」

2008年のリーマンショックでは、筆記具メーカーを「経費削減」というショックが襲いました。
この結果、「備品」としての大量購入は減りました。
でも筆記具なしに仕事はできません。

会社の備品なら文句はいわないが、自腹で買うならよいものを選びたい、という嗜好がどうも市場にはあるようです。
店頭での小売販売の売上は落ちませんでした。
この背景で三菱鉛筆が売れ続けたのは、機能開発を続けた成果でしょう。

広報担当、飯野尋子氏
「あくまで個人的な印象ですが、スマートフォンを使うような人ほど、ノートや手帳へのこだわりが強いように感じます。
1本1000円のジェットストリームを購入されるのもこの層です。
デジタルを使うほど、アナログのよさが見えてくるのかもしれません。」

たしかにITリテラシーが高い人ほどグッズにこだわりますね。
お気に入りのボールペンボディ軸に、ジェットストリームのリフィル軸を突っ込んでるかたもいるくらい、クセになる抜群の書き味なんですね。